爪白癬は、爪に白癬菌が感染したため、爪の色が白く濁ったり、爪の厚みが増して変形したり、爪がもろく崩れやすくなった状態のことです。
痛みやかゆみを伴わないため治療をしない方もおられますが、症状が進行すると爪の変形による痛みから歩行に障害をきたす場合があります。
水虫と呼ばれる白癬菌感染症の診断は、病変の部分に白癬菌がいることを確認することです。
診察のときに患部の皮膚や爪を採取して顕微鏡を使い、白癬菌が存在するか調べます。
その場で病変の原因となる菌を確認することができるためすぐに治療につなげることができます。
治療には、白癬菌の繁殖を抑制し、殺菌的な作用のある抗真菌薬を用います。
抗真菌剤には外用薬(塗り薬)と内服薬(飲み薬)があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
爪白癬の爪は厚く変化しているため、足白癬の治療に使用する水虫用の塗り薬ではあまり効果が期待できません。
高濃度で爪に浸透しやすい爪白癬専用の外用抗真菌薬を使用します。
内服薬と違い全身的な副作用の心配はありませんが、爪の周囲が薬でかぶれることがあります。
爪が生えかわるまで約6か月~1年間、1日1回塗り続けます。
現在、日本で使用されている内服抗真菌薬は3種類です。
この中で最も効果に優れているのはホスラブコナゾール(ネイリ)です。
テルビナフィン(ラミシール)は薬剤費が安く済みますが、内服期間が6か月~1年間と長期になります。
短期間で治療をしたい方はイトラコナゾール(イトリゾール)を使用する場合もあります。
これらの内服薬による副作用として、胃腸障害や肝機能障害を生じることがあります。
そのため、もともと肝機能の悪い人には使用できません。
また、治療中は副作用をチェックするため、定期的に血液検査を行います。
特に、ホスラブコナゾール(ネイリン)は併用注意の薬が多いので、他の病気の治療のため内服中の薬がある方は、その薬の内容をお伝え下さい。
抗真菌薬の飲み薬による治療の場合、通常の診察料と処方箋料以外に、定期的に行う血液検査料と調剤薬局で支払う調剤料および薬剤費が必要です。
これらの費用に関して、治療終了までの概算を示します。
(健康保険3割負担の方の自己負担分の金額です。)
1.ホスラブコナゾール(ネイリン)内服の場合
1か月分の薬剤料 約7千円
3か月治療した場合の薬剤料 約2万2千円
2.テルビナフィン(ラミシール)内服の場合
1か月分の薬剤料 約2千円
6か月治療した場合の薬剤料 約1万2千円
3.イトラコナゾール(イトリゾール)内服の場合
1週間分の薬剤料 約7千円
治療終了までの3週間分の薬剤料 約2万円
4.エフィナコナゾール(クレナフィン)またはルリコナゾール(ルコナック)爪外用液の場合
1本(2~8週間分) 約2千円