AGAは特に成人男性に多くみられる脱毛症の一種です。AGAの発症には遺伝と男性ホルモンが関与しています。
一般的に額の生え際や頭頂部のつむじ周辺から抜け毛が起こるとされており、進行性の脱毛症であるため時間をかけて少しずつ薄毛が進んでいくのが特徴です。したがって、AGAを発症した場合は何らかの治療を施さない限り薄毛が進行し続けてしまうため、早い段階で医師の診察を受けることをおすすめします。
デュタステリドはザガーロの後発品、フィナステリドはプロペシアの後発品です。
AGA治療薬としてはフィナステリドが一般的です。デュタステリドはAGAに対してフィナステリドと同様の作用を持つAGA治療薬ですが、フィナステリドに比べ効果がより高いことがわかっているためです。
フィナステリドとデュタステリドはどちらも薄毛を予防する効果のある治療薬ですが、2つの治療薬には5αリダクターゼに対する働き方に違いがあります。5α還元酵素には「Ⅰ型」と「Ⅱ型」の2種類があり、Ⅰ型は主に全身の皮脂腺に、Ⅱ型は前頭部・頭頂部の毛乳頭や前立腺に多く発現するとされています。また、デュタステリドはフィナステリドに比べ、Ⅱ型5αリダクターゼを抑制する効果は約3倍、発毛を促す効果は約1.6倍とされています。
AGAの主な原因として男性ホルモンによる影響が挙げられます。男性ホルモンであるテストステロンは毛根に存在する5αリダクターゼという酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)に変化します。そのDHTがヘアサイクルに影響を及ぼし、薄毛が進行すると考えられています。
テストステロンをDHTに変化させる5α還元酵素にはⅠ型とⅡ型があり、AGAは主にⅡ型が関与しているといわれています。フィナステリドはⅡ型5α還元酵素を阻害する働きがある一方、デュタステリドはⅡ型に加えⅠ型も阻害する作用があります。
一見すると、効果の高いデュタステリドを服用すれば良いように思えますが、フィナステリドには10年以上もの間多くのAGA患者が服用しても大きな副作用がみられないという臨床結果があります。また、新薬であるデュタステリドの方がフィナステリドと比較して価格が高いという特徴があります。どちらを服用するかは、毛量や懸念点、費用面などを総合的に考慮し選択していくことが大切です。
5α還元酵素はⅠ型とⅡ型で分布する場所が異なります。Ⅰ型5α還元酵素はほぼ全身の皮脂腺に分布し、Ⅱ型5αリダクターゼは主に頭部や髭などの毛乳頭に多く存在するとされています。デュタステリドとフィナステリドの作用する範囲に大きな違いはありませんが、デュタステリドは同範囲に存在するⅡ型5α還元酵素をより強力に阻害することで、高い効果が得られます。
デュタステリド服用によって、勃起不全(ED)、リビドー減退、射精障害など男性機能低下や性欲減退が副作用として報告されています。男性機能低下や性欲減退の副作用は、いずれも発現率は低く危険性は高くないとされています。
また男性機能に関する副作用があることから、子作りを考えている場合は服用の一時休止を検討することがあります。治療薬の精液移行性はないとされていますが、男性機能低下などが不妊につながる可能性もあるため、子作りを希望されている場合は医師へ相談しましょう。
デュタステリド(ザガーロ)の服用で、前立腺腫瘍マーカーの血中PSAが半減します。泌尿器科にかかる時や健康診断の際には、主治医にご相談ください。
デュタステリドの添付文章には「AST(GOT)、ALT(GPT)、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある」との記載があります。ASTなどは主に肝機能を測る数値を指し、肝臓が障害されると肝細胞が血中に流出するため数値の上昇を示します。
デュタステリド服用によって肝機能障害が起こる可能性は極めて稀であるとされています。
気力低下やうつ症状が副作用として一部報告されており、66歳以上の男性を対象とする大規模研究においても「自傷とうつ病のリスクは使用開始から18か月のみ、有意に上昇していた」という研究結果があります。うつ症状などが起こるのは治療薬によるDHTの抑制作用が影響していると考えられています。
副作用として気力低下やうつ症状が起こるリスクは非常に稀です。
フィナステリドはAGA(男性型脱毛症)の進行を抑え、髪の毛が生え変わる周期である「ヘアサイクル」を正常な状態へ戻すための治療薬です。アメリカの医薬品管理局であるFDAでも認可されているAGA治療用の薬剤で、世界中で広く利用されています。
フィナステリドは、本来は前立腺肥大症の患者さんに投与されていた薬ですが、内服中の患者さんの多くに増毛、発毛が認められたことから新たな研究、調査が行われ、その発毛効果が実証された薬です。男性型脱毛症の原因としては、5α還元酵素により男性ホルモンのテストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)というホルモンに変換されますが、このホルモンが男性型脱毛症の原因と考えられています。
フィナステリドを含むAGA治療薬の一種に、アメリカのメルク社が開発した「プロペシア」があります。このプロペシアの特許権存続期間満了後(2015年)から後発品(ジェネリック医薬品)が次々と販売されるようになり、現在ではプロペシアのジェネリック医薬品として「フィナステリド錠」と呼ばれるAGA治療薬が処方されることもあります。
AGAの発症には男性ホルモンの一種である「テストステロン」と、前頭部から頭頂部に存在する体内の還元酵素「Ⅱ型5α還元酵素」が主に影響すると考えられています。
テストステロンは、Ⅱ型5α還元酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれるより強力な男性ホルモンに変化します。このDHTは前頭部から頭頂部に存在する毛髪に対して、通常2〜6年ほどあるヘアサイクルの成長期を極端に短縮してしまう作用があるため、髪の毛が成長する前に抜け落ちてしまい薄毛が進行すると考えられています。
フィナステリドには、このⅡ型5α還元酵素を阻害する働きがあります。この働きによってテストステロンがDHTに変化されることを防ぎ、DHTによって短縮されたヘアサイクルを正常な状態に戻すことが可能です。ヘアサイクルが元に戻ることで髪の毛も太く長く成長できるようになるため、薄毛になっていた部分が回復していきます。
服用開始から効果を実感するまでは、一般的に6か月程度の連続投与が必要といわれています。ヘアサイクルを正常に戻す効果はフィナステリドを服用開始した時点から作用していますが、乱れたヘアサイクルが正常な状態に戻るのにある程度時間がかかるため、効果を実感するまでには数か月の時間を要します。
フィナステリドの副作用には、性欲減退や勃起機能障害(ED)などの男性機能低下、肝機能障害などが挙げられます。しかし、EDなどの副作用に関しては臨床試験においてプラセボ患者とほぼ同様の発生率となっており、発症機序も明らかではなく危険性は低いといわれています。
勃起機能障害(ED)や性欲減退、精液減少、射精障害など性機能障害の副作用は、フィナステリドが男性ホルモンに作用することに起因すると考えられています。前述のように、発症率は極めて低いものの何か異常を感じた際は医師に相談するようにしましょう。
フィナステリド(プロペシア)の服用で、前立腺腫瘍マーカーの血中PSAが半減します。泌尿器科にかかる時や健康診断の際には、主治医にご相談ください。
稀な副作用ではありますが、抑うつの症状も報告されています。抑うつに関しても、フィナステリドが男性ホルモンであるDHTを抑制するため体内のホルモンバランスが乱れることが関係している可能性も否定できません。リスクは低いものの絶対に発症しないとは言い切れないため、きちんと専門知識のある医師のもと服用することが望ましいといえます。
フィナステリドは肝臓で代謝される薬であるため、肝臓にある程度の負担がかかります。しかし、これはフィナステリドに限った話ではなく、どんな薬を服用しても同じことがいえます。肝機能障害に関してもごく稀な副作用ではありますが、服用に際して定期的な血液検査で肝機能の数値を確認することが大切です。
プロペシアを服用している方の献血は禁止されています。輸血を通して、妊娠中の女性の体内へプロペシアが入り胎児に影響が出る恐れがあるためです。もし献血をしたい場合は、服用中止後1か月間待つ必要があります。
初回 | 2回目以降 | |
プロペシア 28錠 | 10,000円 | 9,000円 |
フィナステリド (ファイザー) 28錠 | 8,500円 | 7,500円 |
ザガーロ 30錠 | 11,000円 | 10,000円 |
デュタステリド (グラクソスミスクライン) 30錠 | 9,000円 | 8,500円 |